市議会議員特別セミナー(第4講座)   

2007年 08月 11日

休憩後の10時半から、第4講座は東京大学東洋文化研究所の所長田中明彦教授から「21世紀の世界システムと日本」と題した講演があった。
田中先生は、中江兆民の1887年に発行された「三酔人経綸問答」から、現代の世界システムを話された。
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中江兆民の三酔人とは、南海仙魚(南海先生)の自宅に2人の客が来訪。酒を酌み交わしながら、政治談議する有様を漢文で記したもの。

この「三酔人経綸問答」は、1887年明治憲法発布の1年前。日清戦争まで、あと7年と言う19世紀の書物。

紳士君という非武装論の民主主義者と武力で世界を安定させようとする考えの豪傑君。また、消極的武装論の南海先生の考えを披瀝。

その上で、21世紀の世界システムを比較された。
まず、現代の世界の状況は、①グローバル化②民主主義も進展③近代化による諸大国の勃興(中国・インド)④地域の軍事中心国家の問題(北朝鮮)⑤国家が名実共になくなった地域(アフガニスタン。イラク・アフリカ諸国)⑥テロの脅威

国家のみを中心にした国際政治観は限界に来ている。

【3つの圏域】
第1圏域を「新中世圏」(欧州諸国・北米・日本・オセアニア)近代化がほぼ終わり、民主主義・市場経済成熟→紳士君の理想。平和世界

第2圏域を「近代圏」(中国・インド・ロシア・東アジア)近代途上、国民国家形成途上、不安定市場→南海先生と豪傑君のアプローチで、平和世界と腕力世界の戦場

第3圏域を「混沌圏」(サブサハラアフリカ、中央アジア)で、国家の事実上の解体→中江兆民の時代(19世紀)であれば、植民地化された部分。

内容は、このブログで書けないくらい豊富だが、要約すると、現代国家を紳士君の言うような「世界平和で民主主義」と一括り出来ない世界があること。

豪傑君の武力で世界を平和にすることも困難なこと(米国のイラク・アフガニスタン・アフリカ諸国のように)

それならどうするのか。答えは出していただけなかったように思う。しかし、南海先生の考えにも通ずるが消極的武装論の国連を中心とした圏域に応じた対応が必要。第3圏域には国際平和維持軍によって秩序を保つしか、今日の国際社会の安定を得る手法はないように思う。アフリカ諸国の部族対立やアフガニスタンの宗教間対立を世界的視点からどうやって平和維持させるのか。中東ユダヤとパレスチナとの武力による隔離政策で平和が維持できるのか。

最後に田中先生の中江兆民の話から世界情勢を読み解く話は、結構聞きごたえがあったが、視野を広げる良い講義であったように思う。

2日間の研修ではあったが、ためになった。学んだことを広く伝えると共に実践することから、始まる。

【田中 明彦(たなか あきひこ)氏:東京大学東洋文化研究所教授】
 1954年埼玉県生まれ。埼玉県立浦和高等学校卒業。1977年東京大学教養学部卒業。1981年マサチューセッツ工科大学博士号(政治学)取得。平和・安全保障研究所研究員、東京大学教養学部助手・助教授を経て、東京大学東洋文化研究所教授、現在に至る。
『世界システム(東京大学出版会1989年)』、『日中関係 1945~1990(東京大学出版会1991年)』、『新しい「中世」~21世紀の世界システム~(日本経済新聞社1996年/日経ビジネス人文庫2003年)』、『安全保障~戦後50年の模索(読売新聞社1997年)』、『ワード・ポリティクス~グローバリゼーションの中の日本外交~(筑摩書房2000年)』、『複雑性の世界~「テロの世紀」と日本~(勁草書房2003年)』など著書多数。
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by ando-ayabe | 2007-08-11 12:04 | 議員政治活動 | Trackback | Comments(0)

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