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原発事故対策視察

4月18日(水)
今回の調査活動のもう一つの重要な内容である。福島第1原発事故による自治体の対策について、調査研修するため、福島県田村市を訪問。前泊の福島県郡山市から、バスで、移動30分。
田村市は、平成17年(2005年)3月福島県田村郡5町が合併した都市。人口は約4万人、面積は、450平方キロメートル。征夷大将軍坂上田村麻呂にちなんで田村市と命名されたとか。西側に隣接する大熊町、浪江町は、原発による全損避難を余儀なくされている町に隣接している。原発からは、20km圏~30km圏を有し、今回も避難対象となっている。
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田村市役所は、旧田村郡船引町にある。地震復旧対策や避難者対策で多忙な中、時間を作っていただいて説明を聞いた。対応していただいたのは、生活安全課の西田係長。
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東日本大震災の地震そのものの影響は、先の岩手県よりも大きな被害を受けている。バスで到着した町なかにも、屋根にブルーシートのかかった家屋もある。その点が岩手県とは異なる。

地震被害は、それほど甚大ではないとの話。人的被害は、死者1名、負傷者5名。物的被害は、道路366か所、公営住宅22団地73か所、上水道施設121か所、学校64施設、農林施設被害は323か所などとなっている。人的被害が少ないのは幸いだった。家屋の全壊は、12世帯、半壊が144世帯。一部損壊は2842世帯となっている。

地震被害が比較的少なかったため、3月11日には、職員はいったん帰宅している。しかし、3月12日土曜日午前7時に全職員に招集が掛かっている。と言うのも、同日午前5時44分、第1原発10km圏内に避難指示が発令され、隣町の大熊町から、避難者の受け入れの要請を受け、避難誘導に当たるため、職員の招集をかけている。

しかし、午後6時には、避難区域を20km圏に拡大。大熊町だけでなく田村市都路地区の住民も避難誘導しなくてはならなくなっている。12日夜には、隣接の大熊町だけではなく、南相馬市、浪江町、双葉町、富岡町、楢葉町、など、総数7257人の避難者を受け入れている。

その後も、原発は、爆発を繰り返し、福島県知事の命令で、20km~30km圏内の住民に屋内退避指示が出されている。その後の経過を震災復興ビジョンの資料から読むにつけ、担当市の職員が大変であったことは想像に難くない。

今回の震災対策の教訓として何点か挙げられた。
①消防団員の指揮命令系統による避難誘導は、本当に助かったこと。各地区消防団員が、避難者の誘導を行うときに、各家々に人が残っていないか。また、避難所への避難者誘導・人員把握に関しても的確に指示が伝わり、スムーズな避難誘導ができたことを挙げられた。

一方、市役所の災害対策の反省点として、
①実際に動ける災害対策本部を作る必要があった。特に、役割分担の明確化では、個別の氏名までかきいれた対策本部づくりが必要だ。
②日常の市民も含めた災害危機管理意識を向上させる必要があった。

と述べられた。おそらく想像するに、消防団と市役所の違いは、指揮者の判断と的確な指示だと思う。決して田村市だけの問題ではなく、一般的に消防団と役所組織の違いだと思う。
消防団長とそれを取り巻く幹部団員の判断と信頼の元消防なら動く。一方市役所の職員は、与えられた、役割分担表に基づいて、その部分では的確にこなしていくだろうが、災害は、それほど、セオリー通りにはいかない。時に臨機応変の対応が必要になる。その時に、判断する、指示を出す、行動する、その流れが、信頼と目的意識をもって行動できるのかにかかっている。

ルーティンワークばかりしている職員が、非常の際は、ルールにないことも、行わねばならないことを、誰の判断でするのか。そこは組織の日常の組織活動での柔軟さ。目的意識の中での組織目標の設定などによって、養われてくることだと思う。消防団にできて、役所にできない理由。大きな目標は、「路頭に迷った人々を安心して避難所で生活できるようにどう助けるのか。」この1点で消防団員はどんなことでも、相手の側に立って行動する。一方役所組織は、縦割りで、縦割り以上のことは行動できないので、そこに差が生じるのだ。

それをどう打ち破って組織行動を非常時に行うのか。どこの自治体でも抱える課題だと思う。

色々なことを学ぶことができた今回の研究調査活動。今後の議員活動に生かしたい。

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帰る途中、福島県三春町の1000年桜があった。まだ、桜は蕾膨らむ状態だった。早く東北の地にも、被災者の方々にも温かい春が訪れる事を祈って福島を後にした。

by ando-ayabe | 2012-04-20 16:20 | 議員政治活動  

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