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時代の節目

いよいよ時代が変わっていく予感がする。戦後の政治体制というべきか、統治機構(ガバナンス)と言うべきか、経済のグローバル化。国内消費の先細り、富の偏在、極端な少子高齢化、原発神話に象徴される科学文明に対する不安。

まだまだ数え上げればきりがないくらい、戦後の国づくりの舵を大きく変えねばならない時代が来た。

国民の生活自らも変化を余儀なくされているし、それを支える政治・経済・社会全体のガバナンスも大きな変更の時を迎えている。

その表れは、小さな町のことではあるけれど、1970年代から2000年代。成熟社会を迎えるための社会資本の整備を充実させるため、綾部市内の公共用地の先行買収を手掛けてきた「綾部市土地開発公社」がいよいよ平成24年度予算によって、解散・清算の時を迎えたことだ。

右肩上がりで、進んできた都市政策は、2010年に至って、ついにとん挫。以久田野開発、東部開発は夢に潰え、かろうじて進めた綾部市住宅工業団地事業(桜が丘団地)も、塩漬け土地になるのではないかと大きな不安の中、前市長が必死の思いで販売の先頭に立ち概ね8割を売り、その後も続く大きな借財も平成21年度に完済した。あの苦しかった100億近い事業。住宅団地の借金返済のため、思うようなその後の都市整備事業も辛抱してきた。

その事業の用地先行買収も土地開発公社が担って来た。バブル崩壊後の公共事業もとん挫して久しいが、その遺物として残っていた「綾部市土地開発公社」の持つ塩漬け土地を一気に整理しようと山崎市長が決断した。13億8千8百万円の公社の負債(イコールではないが資産)を買い取る起債を発行することにした。

 1年前の平成22年12月議会の一般質問で、行政を知る唯一の市議として、誰もが口にできない謂わば、「パンドラの箱」(ちょっとオーバーかな?)「綾部市土地開発公社は、既に時の役割を終えた。公社解散のため、国が示している、第3セクター債(3セク等の負債を自治体が借入れ、公社から土地を買い公社を解散・整理してしまうための特別の起債。)を活用してはどうか」と質問したことに端を発する。

 昨年度土地開発公社では検討委員会を立ち上げ、解散に向け、事務的な整理を行い、ついに、平成24年度予算で、関連する4議案を提案した。京都府で、公社を解散するのは、初めてという。
全国の自治体土地開発公社は約1000社。その内平成22年度中に50社が解散した。全国で、15000ha3兆円もの簿価の保有土地を抱える。しかし、実際の評価額は2分の1にも満たないだろう。資産価値は減少し、借金だけが残った。綾部市とて保有土地面積こそ近隣自治体の比ではなく少くないが、状況は同じ。

いくら公社で保有してもらっても、利子を生むだけで、価値は上がらない。さりとて、市が買い戻して利用するだけの行政ニーズも財政的余裕もない。(誤解を招かないように言うと、行政ニーズはかつてはあったが、財政的に買い戻して、事業化するだけの財政力がないし、もうその事業効果もなくなっている)

右肩上がりの頃、ずいぶん土地開発公社には世話になった。あらゆる公共事業の先行用地買収は土地開発公社が行った。今塩漬けで残っている土地の先行取得の経過にはいろいろな理由がある。当初の思いと異なる政治決断もあった。しかしそのことは懐にしまって、既に鬼籍に入っている先人の思いを受け継ぎながら、その成し得なかった無念も一緒に、これから新たな整理・再利用を考えていけばよいのではないだろうか。

責任の所在は?と問われたら、その当時、市議会で、公社の先行取得に関して、「債務負担行為の議決」をし、議会も承知のこと。いわば、当時の市民代表である議会も責任は大きい。

いずれにしても、土地開発公社が果たしてくれた役割は大きかったし、時代の大きな変化の中で、その役割を終えたということにほかならない。

次へのステップへの一つとび越えねばならないハードルを越えようとしている。

by ando-ayabe | 2012-02-21 10:00 | 議員政治活動  

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