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創政会視察報告書完成

ようやく視察報告書が完成した。003.gif
喉が痛くて咳・痰がひどい今回の風邪。頭痛に悩まされながら、とりあえず出来上がった。
ので、コピー・ペーストします。(誤字脱字こらえてください)

創政会政務調査報告書

○調査期間:平成24年2月6日(月)~2月8日(水)
○調査目的:綾部市の課題となっている「防災情報連絡」「障害者雇用」「間伐促進と新エネルギー」
などに関して、創政会として先進地域を調査研究し、本市の課題解決の参考とする。
○調査先および調査概要
【2月6日】
FMくらしき:緊急通報ラジオの普及状況・行政との連携
【2月7日】
岡山県総社市保健福祉部福祉課
平成23年12月に施行された「障がい者千人雇用推進条例」の施行に至る経過や計画。
総社市の障がい者就業促進等について
【2月8日】
岡山県真庭市役所他
バイオマスタウン構想、木質産業振興、間伐材利用によるペレット生産、バイオマス原料による
発電・熱供給等(NHKTVで藻谷浩介氏から紹介された「里山資本主義」の現地調査)
○視察者:安藤和明、田中正行、塩見麻理子、波多野文義(以上創政会)、高倉武夫(副議長)

【2月6日】岡山県倉敷市(株)FMくらしきを訪問。
緊急告知FMラジオのシステムを販売普及している㈱FMくらしきを訪問。社長の大久保憲作氏に話を聞いた。この緊急告知FMラジオの開発を手掛けられ、普及に努めておられる。
経営者の大久保氏は、もともと、ハム(無線通信)をやっておられ、電波に関する相当な見識をお持ちだった。平成16年の全国的な災害で緊急時に情報連絡に手間取った経験から「緊急告知ラジオこくっち」を開発され、23年3月末現在全国に9万台を普及させている。倉敷市内では3千台を販売し、災害時の行政からの緊急告知放送を行っている。
 この緊急通報FMラジオの特徴は、通常はFM放送を受信できるが、夜間などラジオのスイッチを切っておいても、緊急通報等の際には、基地局等(行政でも消防署でも割り込み放送できる)からの特殊な電波を受信し、自動的にスイッチが入り、災害情報が聴取できる。また、聴覚障害者のための赤色ランプも点滅し、緊急時であることが判断できるようになっている。
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【緊急通報ラジオこくっち】
 また、地域を限った放送も可能。FMいかるを利用して、市街地などに普及が可能だ。また、防災行政無線や消防車による告知の場合は、屋外で、雨が降っていたりすると聞こえないこともあり、大規模な商業施設や保育園、福祉施設、小学校、自主防災会などに配備し、避難誘導を行うことも可能になる。価格は、8400円と割高だが、万が一の通報には最適ではないだろうか。
全戸配布してはどうかと質問したところ、「お年寄りにしっかりと設置まで説明が出来るのか。配布しただけではだめで、ちゃんと受電する位置を確認しておくことも必要。置いておかれるだけでは無駄な行政投資になる。それよりも、福祉施設や小学校など行政施設に市民団体が寄付をしてもらい。設置してもらう方が効果がある。」との回答だった。行政関係者はついつい全戸配布だとか、高齢者世帯に一斉配布だとかの発想になるが、あくまでも機能することが大前提。あせらず少しずつ普及していけばよいとの考えだった。

 平成19年度には、総務省主催の第11回防災まちづくり大賞で、消防庁長官表彰を受賞しておられる。
本市への導入に関しては、山間僻地の問題をどうするのか、放送圏域が20km四方と狭いエリアのミニFM局でどうかとの懸念があるものの、防災行政無線の補完機器として、今本市の課題となっている各地区のオフトーク通信の後継事業として機能しないか検討する価値はあるように思う。また、ラジオの配布にあたっては、順次整備していけば良いと思う。まず福祉施設・学校・保育園・行政施設・高齢者世帯・商業施設・自主防災会など、そして各種ボランティア組織に寄付を呼び掛けるのも良いのではないだろうか。

新潟県長岡市・燕三条市・伊丹市・宝塚市など広く全国に普及しつつある。東北震災での情報伝達手段として各地のミニFM局が機能したとの報道に接すると、大規模災害にいかに住民を誘導するか、正確な情報が入手できるのか、新たな緊急通報の情報入手など、自動的に緊急告知するラジオは機能しそうだと思った。
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【㈱FMくらしき大久保社長と】         
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【こくっちはエリア放送も可能】
 午後3時、㈱FMくらしきでの政務調査を終え、近くにある倉敷美観地区を見学。アイビースクエアや倉敷代官所跡・江戸時代の歴史的建物保存地区など、中世・近代の備前地方の経済の中心の重みを感じた。街並み景観保全にしても、とても本市の取り組みでは、誘客出来るものではなく、人口47万人の都市の力歴史の重みを感じる。(福岡県日田市でも同様の思いだった。)

【2月7日】岡山県総社市役所「障がい者千人雇用条例」調査
岡山県総社市福祉部を訪問。総社市の人口は6万6千人で、かつて、備中国府がおかれていた古墳時代吉備国。歴史上出雲政権と大和政権と拮抗する権力が存在していたことを物語る。岡山市・倉敷市と隣接し、備中の中心地。室町時代の足利尊氏との戦跡もあり古代から中世の政治経済の中心地と思われる。
 現在の片岡市長は、2期目で橋本元総理の公設秘書をしておられたお方とか。説明にあたっていただいた、弓取克哉課長補佐は、綾部市の山崎栄市商工労政課長と旧知の仲だとか。前市長四方八洲男氏が、小泉政権を地方から支えようと参画した「改革の灯を消すな首長の会」で、共に行動をしていたとの話し。全国広いようで狭いものである。
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 【総社市役所でヒアリング】
今回視察した総社市の障がい者福祉施策は、6万人の都市規模では全国的にも特異な事例でまた、目標数値が設定してある条例など、興味深い取り組みだった。「総社市障がい者千人雇用条例」を承知したのは、全国の都市のHPを正月休みを利用してチェックしていたところ、年末に可決した同条例があると発見。早速依頼し、研修させていただいた。

この条例制定の経過は、もともと、総社市では、ユニチカ旧工場跡地の一部2万坪の寄付を受け、その場所に岡山県の「障がい児支援学校」を誘致する県に提案していたが、結果として誘致できず、それなら、その子どもたちの働く場を行政商工団体市民が一体となって確保しようと取り組みを始めたのがきっかけ。

平成23年5月には、総社市障がい者千人雇用委員会を発足させ、基本理念の制定、支援制度の研究、就労創出に取り組み、同年8月に中間報告を受け、条例化を進め、23年12月議会で可決されたもの。

総社市には約1200人程度の障がい者が手帳を交付受けているが、なかなか就業までたどり着けない。現状は424人が就業している。商工団体の理解が何より必要で、就労支援の取り組みも積極的に行っておられた。特に商工会議所との障がい者雇用の推進に関する協定の締結を始め、就労支援ルームの開設、「障がい者ワークわく総社就職面接会」の開催、市役所・市農業公社への就労促進など、また、福祉的就労支援促進のため、就労支援B型事業所ガソリンスタンド「サンガーデン吉備」のオープン、A型就労事業所としての、「憩いの店 芳純」による弁当宅配。そして2月からは、ラスクやクッキーを販売する「のぞみ」の開所など、矢継ぎ早に積極的な障がい者就労支援を展開しておられた。
 条例は、「福祉から就労へ」という理念のもとに、それぞれ行政、事業主、事業団体の責務、市民の役割など、社会全体で障がい者の就労を支援しようとする理念に溢れた条例だ。

特にこの施策の推進役として、内閣府から若手官僚を出向させ、国府との政策のすり合わせや国への働きかけを積極的に進める片岡市長の姿勢は、2期目の市長として意気込みを感じられた。
 
 市長の命令一家、関係職員は条例化や委員会設置など積極的に生き生きと取り組んでおられた。「千人雇用が出来なかったときは私が責任を取るので、条例には「千人雇用」と書けとの政治家としての市長の意気込みもすごい。同じ水は、流れを作らないと淀んでしまう。綾部市も積極的な障がい者の就労支援を本気で取り組まねば、昨今、精神疾患の多い世の中、大変な状態になることを懸念する。
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【就労継続支援B型事業所】
午前中、総社市を訪問し、昼までじっくりと研修させていただいた。昼食会場に総社市国民宿舎をご紹介された。全国で2番目に多い利用者の国民宿舎ということだった。
 総社市への立地企業「紀文」のおでんや、地元食材を使ったバイキング料理だった。一人千円も安いものだった。沢山の人でにぎわっていた。昨今国民宿舎は安かおう悪かろうの感がするが、地方の道の駅の成功事例のような施設だ。

午後、翌日の真庭市のバイオマスツアー参加のため、真庭方面へ。総社市には、有名な水墨画家「雪舟」が子どもの頃を過ごした宝福寺(涙で描いたネズミの話で有名)があり立ち寄る。本堂修復中だった。その後、昨年開催された姫路市B級グルメ大会で優勝や入賞した「蒜山焼きそば」の蒜山高原も近くにあり、B級グルメの街の実態調査に出向いたが、本年の豪雪で大山方面も2mの積雪で通行不能で断念。

【3日目】真庭市バイオマス事業調査
岡山県真庭市訪問。真庭市は、2005年3月に岡山県大庭郡と真庭郡など9か町村が合併しできた平成の大合併の都市。人口49千人、面積828平方kmの市域を有し、山陰地方と中国地方の高速道路結節点にあたり交通の要衝として、産業・文化の中心的役割を果たしている。

蒜山方面の観光・勝山・久世における産業経済など幅広い地域政策が行われている。とりわけ今回視察した、「バイオマス事業」の取り組みは、本年正月のNHK地域経済振興の特別番組にも、日本政策投資銀行の藻谷浩介氏から紹介されるなど、特筆した取り組みがなされており、全国の自治体・議会・経済団体からの視察が相次いでいる。
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【真庭市議会での参加者質問:グンゼ久世工場都綾部市のかかわりを紹介する。】     
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【真庭市役所ペレットの冷暖房施設。庁舎は2011年に完成したところだとか。】
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 【間伐材集積基地。元経済部長さんが施設庁でご案内いただいた。】
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【議場も全て集成材使用】
とりわけ、間伐材を活用したバイオマス集積基地、集成材国内最大手企業「銘建工業」の製材チップエコ発電事業、木質ペレット製造施設など、民間事業所が中心となっての地域活性化事業の展開。高知県や京都府にもその事業を評価する動きが生まれている。本市では間伐事業自体が困難化している状況で、一刻も早い間伐促進と間伐材の処理利活用が望まれている。その意味からも、必見の価値があり、真庭市を訪問した。
(綾部市の職員も7名が当日参加し、真剣に調査活動をしていた。)
1月6日に申し込んで、テレビの反響もあり、全国から5議会、2自治体が視察に参加した。
真庭市役所で、議長から真庭市のバイオマス事業の内容説明を受けた。当初経済産業省のバイオマスタウン構想に基づいて、間伐材からキシリトール抽出事業を始めたが、事業はうまくいかず議会で問題になった。いっぽう真庭の若手経営者20人で組織する「21世紀の真庭塾」では、民間人の手で、真庭地域の循環型社会の形成を模索。「木質産業クラスター構想」を策定し、NEDOの経済支援を受けながら、林地残材、樹皮等の燃料化する実証実験を始め川上から川下までの木材活用の一貫性が構想され、皮紙の山から切り出されたすべての木質系バイオマスは、収集運搬システムを確立し、バイオマス集積基地へ集積し、チップ化され、エネルギー転換システムによりボイラーでの熱エネルギへと転換される。また、一部は、王子製紙の洋紙の原料とされるなど昨今のエネルギー問題の影響を受け、木質ペレット事業も評価されるようになった。との話であった。

本市においても、平成16年当時、間伐材利用で、エタノール抽出事業の提案が府森連等からあり、検討したが、計画する木材確保の困難性などから計画とん挫した経過もある。国の提唱する事業が必ずしも上手くいかないばかりか、むしろ失敗する事例が多くある。地域の発想による事業の方が成功する例が多い。その点で、議会でも、行政の進める事業の適格性はチェックの対象となる。

今回の真庭市のエコ発電事業に関しては、銘建工業という、集成材メーカーからのプレーナー屑(削りくず)など大量の木材残渣を排出する企業の存在が大きい。計画時点では、キシリトール抽出という、国や学者が進めるメニューを押し付けてきた政策には無理があることを私は勝手に認識している。地域にあったものを地域の人々が真剣に考えた結果成功したのではないだろうか。民間ベースで地元企業が発想した事業の方が成功するような気がしてならない。
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【銘建工業工場見学】
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【銘建工業木質チップサイロ】
真庭市では、間伐材の集積基地への搬入に補助金を出し、山からの切り出しに力を入れている。そしてチップ化した物は、王子製紙へ紙の原料として販売し、木の皮などは銘建工業でエコ発電に使っている。

また、木質ペレット・チップは、市庁舎や学校などの冷暖房に活用し、農家の温室の暖房に利用されている。生産される木質ペレットの多くは、韓国(オンドル)などに輸出しており、発電から生じた温風は木材の乾燥にも利用するなど、まさにバイオマスタウンを実現している。今後国内でもエネルギー問題が顕在化しており、木質ペレットの需要は伸びると推測できる。ペレットの単価は、kgあたり韓国では17円。で日本での販売は、フレコンデなら25円。個人のストーブ用なら35円ということだったが、京都府内で生産しているものは50円とも言われており、価格の低廉化が必要ではある。

本事業は、真庭市観光連盟が着地型観光事業のメニューとして実施しているもので、市役所での説明の後はバスで、観光連盟の女性スタッフが説明しつつ市内を視察した。これといった観光地でないこの地で、広域的市域をうまく活用し、着地型観光をメニュー化し、観光事業にもうまく使っていると感心した。そして、各施設での説明でも、見送りもおもてなしの精神が徹底しており、感心した。バスの中で女性スタッフも車中からグンゼ久世工場の案内をしていただいたり気配り満点です。見習わなければ。)
過日の大丹波観光の発想も含めて勘案すると、大丹波の発想を各自治体が趣旨を受け止め、うまく連携しないと成功できない事業だと思う。真庭市の場合は、3郡1市に合併している。広大なエリアをうまくつなぎ合わせて着地型観光を企画している。既に着地型観光は身近にまで来ているとひしひしと感じた。中丹地域で言うなら、広域振興局単位で、一つの大きな観光連盟を築いて、着地型観光を進めないと、広域合併したところの自治体の方がフットワークが良くなると思う。

ありがちな行政の縄張り意識ではなく、連携し合いながら、地域住民の経済波及効果を大前提に考えていくべきだと感じた。でなければもう一度広域合併の話を進めるべきではとも思った。橋下市長の維新の会の発想も同様だろう。ガバナンスの問題であって、住んでいる人々には行政区域の意味は昔ほど強烈ではない。
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【銘建工業木質ペレット生産】
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【木くずを燃焼させエコ発電装置】
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【ペレットストーブ。価格はまだ高価だが、いずれ石油ストーブに変わるかも】

by ando-ayabe | 2012-02-15 11:54 | 議員政治活動  

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