愚民感

地方制度調査会が、今通常国会に提出する「地方自治法改正」にあたって昨年末に意見書をまとめていた記事が「自治日報」に掲載されていたが、ショッキングな言葉のやりとりに驚きやら怒りやら、改めて、地方分権・地域主権「道遠し」との感を受けた。

と言うのも、今回の地方自治法改正にあたっては、片山総務大臣が就任後に出されたいくつかの地方分権を進めようとする改革案だった。とりわけ名古屋市長選挙とその結果の地方税削減の住民投票。また、阿久根市議会と竹原市長との地方自治の根幹を揺るがす問題などが発生し、地方分権の本質に迫る課題が顕著になったこともあった。その内容は、
① 地方議会の通年会期の創設問題
 地方議会を年の最初に開会し、最終日は年末とする制度改正で、首長の専決処分を乱発し、議会を開かなかった鹿児島県阿久根市の竹原市長(当時)の地方自治法の趣旨を逸脱した行為に対する制度見直し

②専決処分を受け議会が不承認した場合の首長の対応問題
 首長は、その決定に従い専決処分に代わるものを補正予算案などで再計上し審議を仰ぐ。これも阿久根市議会であらわになったが、首長の専決処分に対する議会の権限も見直しの対象になった。
③直接請求制度の見直し問題
 住民税の税率に関して住民の直接請求を行わしめる制度改正なのだが、名古屋市の河村市長の市税の10%減税に関するいきさつも
④住民投票制度の問題
 これも、夕張市のような、議会機能が働かず首長に唯々諾々と従う議会をチェックすることも含め、住民による直接民主主義を認めようとするもの。大規模施設の設置に関する住民投票制度を可能ならしめる制度改正

などが、今回改正のまな板にあがっていた。

これらに関して、地方制度調査会に総務省が意見を求めていたもので、執行側・議会側・有識者(住民側)が検討していたもの。

その結果、年末に意見書が提出され、総務省もその意見を尊重し改正するものだが、この案件のうち、
①の通年制議会に関しては、首長の出席義務を配慮する形で、条例制定すれば可能都なるようにすべきとした。
②の専決処分に関しても、議会が専決処分を不承認とした場合は、首長が一定の措置を義務ずケルこととした。
③の直接請求制度に関しては、名古屋市の例で莫大な数の署名が必要とし、その確認だけで大変なことがあったことにかんがみて、直接請求制度の改善が行われるが、その内住民税の改正に関しては直接請求できるかどうかもっと検討することとし、今回の改正からは省かれるように。
④の住民投票制度に関しても、議会の役割と住民の直接民主主義との間で、反対意見が多く、延期とすべきとされたようだ。

この記事の中で記者が書いているのは、議論の中では③の住民税の税率に関する直接請求制度を認めないと意見書を出した背景には、現在の地方財政の中で、直接請求が乱発された場合のことを考え、住民を「愚民感」と表現していることだ。また、④の住民投票制度にしても、昨今のマスコミ等による住民の動向を懸念して、ある意味「住民は考えもせず反対に回るばかり」との「愚民感」を懸念している。

私は、地方制度調査会で専門家が意見を述べ合っていることに関してどうのこうのとは言わないまでも、住民への不信感を抱きながら、地方分権の推進など語ることが果たしてどんな結果を招くのか。そして不信感の上に立った改革などできようはずもないな~と、暗澹たる気分になったことだ。
住民をバカにしてはいけない。「直接請求で訴える住民」と「現状を説明する議会や首長」があって、そのいずれかの結果を住民が判断する。それこそが民主主義だと思う。ただ、住民は議会議員を選任することで、議員は委任を受けて議会で決定しているのであり、住民による直接参加を極度に進めると、代理民主主義は成り立たなくなることも一方で考えねばならない。しかし、そのような不信感を議会代表や首長代表が言うのはどうしたものか。それは有権者から政治を付託されている議会や首長の「怠慢」の故なのではないかと考える。

国は地方を信頼していない。ことと同じように、議会や首長は住民を信頼しないようでは、真に住民の立場に立った政治などできるはずがない。信頼の上の代理民主主義だ。

大津市長に36歳全国最年少の女性市長が誕生した。従来型の政治は市民の前では通用しなくなっている。見えないところで進められる政治に不信感をもっている表れではないだろうか。橋下市長選挙や大津市長選挙の結果を見ていると、既定の政治に不信を抱く有権者の意思表示に思えてならない。「若さ」だけで勝利したとも思えない。愚民と有権者を愚弄していると痛い目の合うことを表している。

自民党大会で、石波元政調会長が語っていたが「自民党ならこの国家危機をどのように政治のかじ取りをするのか?を国民は聞きたい」その通りだ。単に相手のマニフェストを追求するだけで明確な政権の運営方針を示背ないでいる自民党。果たして有権者は納得するのか。
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by ando-ayabe | 2012-01-22 23:44 | 議員政治活動 | Trackback | Comments(0)  

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