方向性

2月4日(金)
2月2日から3日まで創政会では、政務調査費の調査研究事業として、次のとおり研修会に参加した。
自治体議会政策学会の研修会に参加したのは3年ぶり。全国94自治体から173人の議員が参加しておられた。京都府では、京丹後市議会の大同議員と森口議員のお二人。

 綾部市議会では創政会4議員のほかに公明党の森議員。全国規模の研修会に参加するのは、本市議会では創政会と公明党議員が常連。片山総務大臣を招聘した昨年も一緒に自治体議会学会に参加した。議員の研修会は学会のようなもので、我が国だけでなく世界の自治の取組事例や学者の方々の調査研究分析を学ぶことが出来る。議員にとって極めて重要。行政職員の頃から全国規模の研修会や40歳の時には谷口市長の若手職員を育てる研修方針のもと欧州農業事情調査海外研修に参加させてもらったことがある。行政職員として貪欲に事例研究したり、他の自治体職員と交流することは大いに意義があると思っている。
 政務調査費の支出の本来は、このような議員の調査研究経費の支出をこそ目的としている。議員の調査研究もさることながら、職員にも充分な研修費の計上を願うばかりだ。

●出張期間:平成23年2月2日(水)~2月3日(木)
(研修当日が朝早く間に合わないので前泊しました。)
●研修日程:平成23年2月3日(木)
●研修概要:第13期 自治体政策特別講座「自治体予算の審議」-議論の焦点を定める-
●出張場所:東京都千代田区四谷 主婦会館プラザエフ9F
●主  催:自治体議会政策学会
●出席者:安藤和明議員(創政会幹事長)、田中正行議員(創政会副幹事長)、塩見麻理子議員、波多野文義議員
【咳が止まらずに情けない格好をしています。幹事チョー「しっかりしてよ~」】
第1講議(2月3日午前10時~12時)
テーマ:「分権から10年-自治の将来と議会の役割」
講 師:小早川光郎成蹊大学法科大学院客員教授 元東京大学教授
 
小早川先生は、第1次地方分権推進委員会並びに地域主権戦略会議の専門委員として地方分権推進に携わってこられた経験者として、また、行政法の専門家として、この間の地方分権改革の示してきたもの、そしてこれからの分権改革の方向と、議会の役割とあり方について、わかりやすく講義していただいた。【研究者らしい講義でした。小早川先生。行政法の権威です。】
最初に、第1次分権改革とその経過の中で、第1次地方分権改革推進委員会の第1次~第4次勧告に続き、2000年に地方分権一括法が施行された。その中では、機関委任事務制度が廃止になり(法定受託事務として一部事務は残されている。)自治体事務及び国の関与する新たなシステムが始動した。従来は、国は、地方自治体に対し、法令根拠の無い事務次官通達などを発して、国基準を押し付けていた。この改革によって、通達は廃止されるとともに、「処理基準」を示すこととなった。
「現住所(地方)のものに本籍地(国)から口を挟むようなことはやめになった。」と表現された。
2000年の改革で残された部分。国の事務移管、国の法令による義務付け、枠付け、地方の税財政システム、住民自治の在り方など、多くの課題を残しながら第2期分権改革(丹羽委員長)推進委員会がスタートした。
第2期の勧告では、国の出先機関の見直し、国の法令による義務付け枠付けの廃止など官僚の抵抗にあいながらも答申を行ったところで、民主党政権に交替した。
 2009年12月に設置された、地域主権戦略会議によって、同月地方分権改革推進計画が策定され、翌年に総務省内に、地方行財政検討会議が設置された。
 2010年3月には、地方自治法改正案が提出されたが、ねじれ国会の影響もあり、審議未了で、まだ現在も成立していない。内容は、議員定数の上限撤廃。議決事件の拡大、行政機関の共同設置、全部事務組合の廃止、地方分権改革推進計画に基づく地方公共団体への義務付けの撤廃、など。
 また同時に地域主権改革関連2法案も提出されたが同様まだ成立していない。内容は、地域主権戦略会議の設置に関して、内閣府設置法の一部改正案。国と地方の協議の場に関する法律案。
≪種々事情はあるものの、与野党双方異論の無いものはどんどん国会を通して欲しいものだ。≫
また、これまでの分権改革に関しては、都道府県に関するものがほとんどで、市町村への分権改革は実感としてまた実質無いに等しかった。そこで、これからの分権改革の流れとしては、(地域主権戦略大綱によると)基礎自治体への権限移譲、出先機関の原則廃止、義務付け枠付けの廃止と条例制定権の拡大、ひも付き補助金の一括交付金化、地方税財源の充実確保、地方政府基本法の制定(地方自治法の抜本的見直し)、国と地方の協議の場の設置(法案が流れたままのもの)などが取り組まれる。

一方議会の役割としては、今後、議会および執行部の構成方法に関して「議員内閣制」や「大統領型」「折衷型」など今後検討することとなっている。同時にその議論の中では、条例制定権や予算編成権も議会と執行部の関係を見直さねばならなくなる。

当面は、条例・予算(政策や制度)に関する議会機能の拡大を進める。又議会としては、多元的な利益や意見を背景として熟議の場として充実を図らねばならないしその上での権限行使になる。

最後に、地方自治の強化に何が重要かという問題に関して。

①自治体のガバナンス(方針設定・組織・人事・財政運営等々)では、ガバナンスに関する諸制度の整備が必要。また、自主的なガバナンスに対する国の規制や関与は極力抑制し、団体自治を徹底させねばならない。
②個別政策レベルでの自治体の役割強化を図るために、政策制度の執行権限の分権(事務権限の移譲)を進めること。関与・義務付け・枠付けを縮減し、政策内容の形成に関する分権を進めること。
③自治体の行政資源の確保を図ることとして、ヒト・モノ・カネなど自治体の努力を必要としている。カネは、国との関係では、国税と地方税の配分比率の在り方や一括交付金制度の充実、地方債の制限の緩和など財政機能に関する分権を進めねばならない。
④地方自治制度の枠組みの地域構造の変化への対応も視野に入れていく必要がある。市町村の広域連携、市町村合併による市町村内の狭域自治システム(地域自治区)の問題。大都市制度や都道府県を超えた広域連携、道州制問題など、今後地方と国の関係は地方からも大きなうねりとなって変化を見せようとしている。

講義を終了し、会場から何点かの質疑があった。地域によって参加者も特別区の状況や町村の課題なども出された。この講義では、講師の示す「分権から10年-自治の将来と議会の役割」のテーマに沿った話だったが、大きなテーマとしての自治体予算の審議」と言う観点との結びつきの薄い話だったように思う。改めて、地方分権改革のおさらい、そしてこれからの地方を取り巻く動きを学んだ講義であった。特に、自治体のガバナンスに関しては、自治体職員の資質向上のための政策研修を充実する必要を強く感じている。

〇昼休みに、会場周辺を散策しました。四谷は、江戸城外堀四谷見附。門があったようです。外堀ヘリにJR中央線が走っているのですね(東京には詳しくないので)
【東京はすっかり春でした。良い天気やな~。甲州街道の起点だとか。何でも四谷見附橋は大正2年に世界に負けない橋を架けようと東京市の職員の設計によって造られたアーチ橋とか。】
【東京のど真ん中でもこんな城壁があるのです。素晴らしいですね~。ローマを思い出しました。】
第2講議(2月3日午後1時~3時)
テーマ:「予算審議と政策の点検-決算・予算編成の実際とチェックポイント」
講 師:兼村高文 明治大学大学院 ガバナンス研究科教授)
 兼村先生は、明治大学の地方行政の専門課程であるガバナンス科教授として、主に自治体の決算カードの分析について話をされた。市町村の決算カードは、私自身も良く使うアイテムだが、この決算カードが公表され始めたのは、今から13年前で、それまでは自治省も各府県自治体も公表していなかった。しかし、このような決算カードは世界的にもまれだ。とのこと。
 決算カードの読み方の説明に先立って、平成23年度地方財政への対応の概要(総務省自治財政局)についての説明がされた。

 特に、地方交付税総額が確保されたが、増加していると言っても、前年度までの残ったお金を新年度に交付すると言うもので、予算執行残を新年度に配分する程度の話である。また、主な地方財政指標のなかで、地方債の借入残高は、昨今の金利安の影響や公共事業の抑制などで、今後地方財政対策債が増加しなければ、ピークアウトしたのではないかと見ている。(平成23年度末見込み200兆円で平成22年度末見込みと同額200兆円を見込む)また交付税特別会計の借入金残高に関しても、平成23年度末見込みで、33.5兆円で、(平成22年度末見込み33.6兆円)1千億円程度減る見込みとなっている。(これはマクロの数字なので地方自治体それぞれによって事情は別)
 次に、財政分析について講義があり、実質収支比率に係る財政悪化時期の見分けやバランスシートに関しての論点など話があった。いわゆる貸借対照表での決算に関して、道路や橋などの公共施設の減価償却をどう見るのかなど、総務省方式など議論がまだ熟していないとの説明があった。
 決算カードの説明では、初歩的な説明で、特筆すべきものはなかった。(そう感じたのは、私が行政経験者で決算カードは良く見ていることによるものだと思う。)
 その後質疑で、出納整理期間の必要性、短期借入金(一借)についてのチェック方法について、繰越明許費のチェックについて質問があった。兼村講師は、出納整理期間は韓国でも一時廃止したが復活している。収支の10パーセント程度が出納整理期間中の出入りであり、制度としてやむを得ないとの回答だった。繰越明許費の問題の解決方法は、海外でもある複数年度予算を編成できるシステムにすれば解決する。との回答。また、交付税の算定基準について複雑すぎるのではないかとの質問に対して、過去に比較すると算定基礎となる単位費用を3分の1程度に減らした。算定基礎をあまりに単純化すると、条件不利地域の自治体にとっては不利益となるので現状で止むを得ないのではないかとの回答だった。

 第3講議(2月3日午後3時~5時)
テーマ:「地方財政の現状-税制・地方交付税・補助金」
講 師:青山 佾 明治大学大学院 ガバナンス研究科教授

青山先生は、元東京都副知事で福祉部長など行政職員経験者。地方の立場での話が聞けた。特に前半は、現政権における「地方の被害」について具体的にお話しされた。
 今回の国の予算編成にあたって「元気な日本復活特別枠(2.1兆円)」において小学校1年生における35人以下学級の実現を計上しているが、予算通過するか判らないような案件をしかも、4月には学級編成しなければならないような事項をなんの配慮もなしに国で予算化する。予算通過を予測して35人以下学級に編成し、先生を配置して、結果予算通過や法律が通過しなかった場合、単費で対応することとなり、莫大な一般財源が必要となる。このように、地方の実態や制度を知らないで予算提案している場合が多い。とにかく民主党の議員は地方や現場を知らない。思いつきで予算計上しているとしか言いようがない。と嘆いておられた。また、どうして「在日米軍駐留費負担」が元気な日本復活特別枠に計上されているのか理解に苦しむ。とも。文部科学省の予算要求は特にいい加減なものが多いとも。仰っておられた。また、子ども手当の22年度の制度創設趣旨を読むと、「平成22年度分の子ども手当に関する暫定措置として、子ども手当と児童手当を併給し併せて一人につき月額13000円を支給する。子ども手当は全額国庫負担、児童手当については国、地方、事業主が負担。併給に伴う市町村負担が生じないよう制度設計する。として、平成22年度は、児童手当分の地方負担を暫定的として、平成23年度以降は全額国庫負担とした。」しかし23年度においても、暫定措置を継続している。子ども手当に関しては、福祉施策と言うよりも今日的には所得補償的性格に識別し、制度の充実を図ればどうか。とも。
ここからは、箇条的に話が進んだ。
●講師は、世界の自治体の状況や、孤独死の問題、観光行政などを研究しておられ、その観点からも話をいただいた。
●昨年の熱波によって世界各地でいろいろな問題が引き起こっている。イギリスではHEAT・WAVEという研究書が出されているが、どのようなところで住民の孤独死が進んでいるかと調査したら、コミュニティがなく、商店がないところでの孤独死が増加しているとの結果が出た。東京23区での熱中症死の90%は65歳以上で、70%が、一人暮らし96%が屋内で死んでいた。また、40%は夜間に死亡。
●今、全国の自治体の消費者行政はどんどん縮小している。消費者庁が発足して以来の減少で、地方には消費者行政を主体的に行うだけの財政的ゆとりがなくなってきている。
●今、生活保護費はどんどん膨張している。大阪市の事例、また東京都区の事例。30代で生活保護を受けたら、誰もそこから脱出できなくなる。雇用対策こそ充実するべきだ。
●ニューヨークのブロードエウイはどうしてスターの人気があるのか。町の人々がブロードウエイの町を大切に思い、住んでいる人が厳しい眼力を持って育てているから。
●イタリアの諸都市は泥棒や万引きが多い国、そんな国でも日本人観光客が行く。イタリアの観光は、町の人が楽しんでいるからこそ人が集まる。観光は、そこに住む人々が町を愛し、文化を愛すところから人々が集まるのであって、町の人々が町を愛さなければいくら観光誘客をしても定着しないだろう。(藻谷浩介氏も講演の中で、スイスの消費の70パーセントは自国民が消費している。あの観光立国でさえ時計にしろ、チーズにしろ、国内生産物の70パーセントを自国消費だからこそ、観光客もお土産を買うのだろう。綾部でも、同様でしょう。住んでいる人が町の品物や加工品をどんどん買わなければ、他所からのお客が品物を買うはずが無い。しかし、一方で、ニューヨークのように住んでいる人が味にちゃんと注文をつけなければ本物は出来ない。)
●高いホスピタリティのある行政施策の上に育つ町を観光客は観光に行く。
●よく議員の報酬が問題になる。海外の例などが出される。日本の制度とは大きく異なるので混同されないように。ヨーロッパの自治体は「町会」が単位自治体「町会長」はメイヤーでボランティア。それが行政単位であり、皆ボランティアなのだ。日本とは大きく異なる地方自治の原点だ。海外は、統治ガバナンスは4層構造になっている。国・州・郡県(市)・町会。日本は3層構造(国・都道府県、基礎自治体)
●最後に、後藤新平は、「市民一人一人が市長」だと言った。自治は市民の中にあって決してよそにはない。第1の分権は、国から都道府県へ、第2分権は都道府県から市町村へ。最後の分権は、市町村から地域へになる。
●今東京都では、都区財政調整制度があって、都内の固定資産税・区村民税(法人税分)・特別土地保有税の55%を財政調整交付金として各区に普通交付金として配分している。なぜなら、千代田区のように、夜間人口4万人で、昼間人口23万人の区があり、そこでの区民税・固定資産税は莫大なものになるが生活者は4万人で夜間は足立区やその他の区で生活している実態。財政調整交付金であり、一括交付金と同様の性格を持つ。(他の都道府県も府補助金ではなく、各自治体への調整交付金方式にすれば各自治体での自主的な自治が進むと思われるのだが)

●まとめ
1日間だけの研修であったが、これからの地方自治体の進むべき方向、住民自治の進むべき方向。ヒト・モノ・カネの使い方。多くの方向性について学ぶことが出来た。住民自治のあるべき姿からすれば、まだまだ、中央集権的・官僚的ガバナンスであることに変わりはなく、一方、住民側も、もっと、「おかみに任せろ」「税金を払っているのだから」と言った発想ではなく、身近な自治について、自分たちの使い勝手の良い自治について考える。あるいは学ぶ機会が必要と思われる。綾部市議会においても同様であって、熟議の議会となるべく、議員個々の資質の向上はもとより議会全体として住民の皆さんへの問題提起をもっと行わなければならないと痛感した。(世界は広いで~)

帰りは、午後6時の新幹線東京発のぞみ。出発を待っていると向こうのホームに秋田新幹線「E3系こまち」を発見
車中弁当。私は崎陽軒のシュウマイ弁当。安い。750円

帰宅は午後9時半。大本節分祭は行けませんでした。帰って、南南東へ向かって恵方巻を半分食べる。
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by ando-ayabe | 2011-02-04 22:14 | 議員政治活動 | Trackback | Comments(0)  

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