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地方自治経営学会研修(その①)

5月13日(木)
朝9時宿舎発「「平成22年度地方自治経営学会第48回研究大会」の会場明治大学へ徒歩で移動。
この研修会のテーマは、「政権交代で日本の政治行政はどう変わったか。地域主権、事業仕分け、地方議会、超高齢化社会」
主催は地方自治経営学会。昨年までは、埼玉県志木市長だった穂坂氏から元鳥取県知事で慶応大学教授の片山善博氏に。

片山先生はテレビにもよく出演される地方自治経営の専門家。2日間の研修も充実した講師陣で構成されている。特に地方議員や自治体首長は、国政とのかかわりが深い。地方政治の先進的動きが国の施策にも反映される。まさにこれからは地域主権時代。国の動きを見てからとか、近隣市の状況で横並びとかいった従来の地方自治経営では地方自治・住民主権は達成できない。霞ヶ関の様子を見ながら地方自治を運営するのではなく、地方自治から国を動かすような政策を得っていかなくてはならない。ある意味そんな「志士」の集まりのような会議だった。

第1講座(パネルディスカッション)では、片山善博氏をコーディネーターに、元北海道ニセコ町長で現内閣総理大臣補佐官で民主党衆議院議員の逢坂誠ニ氏から地域主権担当政務官として現在の取組報告。朝日新聞論説委員の坪井ゆずる氏から「政治を実効あらしめるためには①政治家が官僚より優秀であること②政治家の方が民意に立脚していること」厳しいご指摘。内心忸怩たるものがある。専門性と政策立案能力の向上のため、このような研修会に積極的に参加したり、学習会などにおよって議員の資質の向上を図らなくてはならない。
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また、北海道大学山口二郎先生から民主党政権の問題点を指摘(彼は元々民主党支持の論客だったが)
現状の民主党にはミッションが明確でない。重要な政策マニフェストも盛り合わせで、整合性がない。(例えば地方道路譲与税・高速道路無料化・高道速道路建設復活・コンクリートから人へ
国土像を明確に出来ていない。しかし、政権交代によって、会員制倶楽部のような政策形成過程が多くの国民に解放され誰でも政策形成過程に参画できるようになった。(例:年越し派遣村の湯浅さん)
地方議会のこれからは、プロセスでの熟議や討論を充実し、議員が予算の重点化を決めて行けるようになることが政治主導となる。
伊万里市議会議員の盛泰子さんは、議会事務局研究会の活動報告を中心にいくつか示唆に富んだ提案がなされた。
「古いものを見たければ博物館か議会にいけ」と言われないよう不断の努力が必要だ。」(都府県議会議長会野村稔氏)「執行部には矢の様に改革を迫るのに自分達の改革は二の次…と言うダブルスタンダードを改めない限り議会は信頼されない。」(片山善博氏)
「明日あなたのところの議会がなくなるそうですよ…と言われてそれは困ったと答える人はいないのではないか」(宮城県元知事浅野史郎氏)
と言われるように議会の質が問われている。

地域主権と自治体議会に関して(新しい仕組みに柔軟かつ的確に対応できるか?
①監視機能の強化に関しては
・議会での自由な議論、とりわけ議員間での議論は活発か?
・市民が参画する仕組みはあるか?
・一般質問の会派枠は誰のためにあるのか?
・それぞれの役職に相応しい議員が就任するための方策が採られているか?

片山コーディネートから「地方議会は議院内閣制ではない。与党会派とか言う表現もおかしい。党議拘束をかけるのもおかしい。自由な議論と意思決定がなされるべきだ。」首長も与党会派と称されるグループとネゴシエーションを繰り返していないか?そのことは議会の役割を放棄している。議会不要論になる。

橋下大阪府知事から「議員・議会内閣制」を提案しているが、これは地方議会に対する不信感の表れではないか

②立法機能の強化と言う観点から
各議会事務局に政策法務担当職員が置かれているかについて。地方自治法上議会事務局の規定が定められていない。当面は議会基本条例でそれを定めていくこと。(綾部市は6月議会に提案予定です)
首長部局から議会事務局権限を離す観点からも、広域的採用や議会予算の編成権などまだ議会の独立性が確保されていない。

議会改革度日本一は「京丹後市議会」(日経グローカル4月号)とされた。
綾部市議会でも今回議会基本条例を策定したが、詳細の法律用語の点で議会事務局内に政策法務の専門職員の設置の必要性を痛感した。今回、パブコメで京都市の匿名氏による専門的意見を頂戴した。心から感謝します。もし今後も議員提案を強化していくのであるなら、外部専門家を委託して政策法務を担ってもらうなど、議会機能の向上のための取り組みが必要だ。

お昼御飯は、御茶ノ水駅のカレーライスやさんで「55カツカレー」を食べた550円ではなく650円だった。
午後は、白鳳大学の福岡政行教授から「次期参議院議員選挙までの政局の動向を読む」と題して政治情勢のお話を聞いた。福岡節を聞かせていただいた。演説は上手いが、政治予測はテレビではよく外れている先生。余り頭に入らない話だった。(失礼)
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その次の総務省行政局長久元喜造氏の「地域主権改革の現状と課題~「原口プラン」特に地方自治法の抜本改正を中心に~」の話は最新情勢として聞けた。久元氏は、以前京都府地方課長(現総務部自治振興課)。総務省の官僚は元は皆京都府で地方課長をして総務省のヒエアルキーを上り詰めていた。今その頂点が内閣官房副長官(瀧野欣弥氏)。私が研修生だった頃の地方課長。気さくなおっさんだったが、今も飄々としている。
地域主権改革とは「地域住民が自らの判断と責任において地域の課題に取り組むことが出来るようにする改革」と地域主権戦略会議で定めている。

そもそも、戦後憲法制定時にマッカーサー草案によると「地方政治」の章には①地方の事務および政治に関しては国会の制定する法律の範囲内で、地方独自で憲章を制定する事が出来るとされており、
地方自治法の抜本改正が必要とされる状況に至っている。その理由として、昭和26年に地方選挙の投票率は91%だったが、直近で54%にまで落ち込んでおり、住民の地方政治への参加意欲の低下を招いている。この理由として長と議会との馴れ合い政治に不満を持っており、議会の必要性を問われている。長が提案する議案の90パーセントが修正なしで通過する現状に市民は不満を持っている。
議会内閣制の問題など今後地方自治法の抜本見直しに向け論点が整理されつつある
①地方自治の本旨の具体化。
②地方自治体の基本構造のあり方
・二元代表制を前提とした基本構造の多様化
・基礎自治体区分の見直し、大都市制
・広域連合、一部事務組合制度
③住民自治のあり方
・議会のあり方(議会機能、議員構成、議会運営、議員の位置付け)
・住民投票、長の多選制限など選挙制度
・規模の拡大に伴う地域内分権のあり方
④財務会計制度・財政運営の見直し
・不正経理事件を踏まえた監査委員制度の抜本見直し

④に関して、外部監査制度導入や「議員選出監査委員」を止めて、「議員推薦監査委員」に対して全国市議会議長会から反対があったこと。は何を意味しているのか?

とにかく、地方自治法に関しては既成制度に対する地方6団体からの反対がよくある。それは理想と現実とのせめぎ合いだけれど、現実の住民の地方自治に対する不信・無関心の現状を見る中ではあえて、身を切っても改革をしていかなくては、住民にとって(私たち自身も住民の1人)不幸だ。

せめて、綾部市議会も、監査委員の「議選を廃止」し、議会推薦の外部監査委員を導入できないか調査しておくことも。ある意味議会の既得権?にしがみつくのではなく、先進的とりくみを進めていかなければならない。

次の研修講師は「どえりゃ~こってす」の河村たかし名古屋市長。続きは、後日。

by ando-ayabe | 2010-05-15 13:41 | 議員政治活動  

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